居場所
「…あたし、本当に周りの事なんて何も見ていなかった。自分ばっかり辛いと思ってて…」
あたしバカだよ…
本当にバカだよ…
偉そうな事を言ってたのは蓮でもなく、このあたしだった。
「ま、止めてる時間を早く動かせろ…思ってるだけじゃ手に届かねーよ」
「でも、」
決心できないよ。
「はぁ…」
蓮は深いため息をつく。そのため息がいかにも呆れているって感じがした。
「何お前、今さら躊躇(チュウチョ)してんだよ」
「え?」
「だからーなんで決めらんねーの?何に迷ってんの?そんな簡単に諦めんなよ。自分のやりたい事」
あたしは何も言わなかった。と言うよりも何て言ったらいいのか分かんなかった。
蓮は大人だね…あたしの知らない間に凄い大人になってる。
その後、考え込んでいるあたしの姿を見た蓮は何も言わずに、そっとあたしの手を引いて家まで送ってくれた。