キスしなかったのは……
「あ……ごめんなさい」


そう言って右へ避ける。


だけど、相手も同じ方向へ避ける。




そしてあたしは左へ


すると相手も……



3度繰り返した後、少しだけイラッとしてしまったあたし。




「アハハ……ごめんなさい」



引きつったあたしの愛想笑いと共に、



あたしは右へ


すると彼も……








さらに2度繰り返す。








さすがに酔って頭の回転が鈍くなってるあたしでも、この状況はおかしいと分かる。






「あの。そろそろ通してもらえませんか?」





抗議の念を込めて、その人の顔を見上げると、そこには、予想外の顔──
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