キミには言えない秘密の残業
カチカチとパソコンを叩く音が響く静かな部屋。もうそろそろかな。須永と二人の残業時間になってから2時間。時計の針は7時半を指していた。



「ちょっと出てくる」



表情を変えることなく須永にそう伝えてあたしは席を立った。はいと笑顔で返されて須永に背を向けたあたしが少し微笑んだのは内緒。


部署を出てあたしが向かったのはビルの一階。このビルの中にはコンビニが入っていてあたしはここで最近よく晩御飯を買う。もちろん須永の分も一緒に。それもあたしの目的の一つ。


もやし炒めしか食べない須永にコンビニのお弁当とはいえ少しでも栄養のあるものを食べてほしいから。



あたしがもっと可愛い女の子ならいや、数年前の自分ならきっと迷惑がられても須永にお弁当を作っていたのかもしれない。


でも今は上司という立場もあるし、体調を心配するだけの気遣いだけの気持ちだけじゃない。
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