キミには言えない秘密の残業
須永のことを恋愛対象としてみてしまっている自分がいる。叶うわけもない。だって彼には盲目になるほどの彼女がいるから。

それなのに、残業をさせて彼女との時間をどんどんと減らすあたしは当然恨まれてもいい存在だ。こんな気持ち伝えるつもりもない。



20品目の野菜が取れるお弁当を二つ手に取り、食後のデザートのプリンも二つカゴに入れてレジに向かう。


「えっ?俺にまで買ってきてくれたんですか?」



さすがに毎日、買って行くと気を遣うのは分かっていたから数日に一回のペース。最初はオニギリを沢山買って食べきれないから食べてと声を掛けた。


気を遣う須永に少しムッとして一人で食べるのも味気ないから付き合いなさいなんて無理やり渡したりして。今では残業のときくらいは甘えなさいとやっと素直に甘えてくれるようになった。



それでもそんな彼だから仕事中にコーヒーを淹れてきてくれたり、実家のミカン畑から大量に送られてきたとミカンを特別にあたしに多めにくれたりとやっぱり律儀だったりする。




あたしが勝手に好きでやってることなのにな。
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