【お題創作SS】1日1章
相手の攻撃をかわして左腕をたたっ斬る。

その後、切り落とした腕を拾い上げ、相手の顔へめがけて投げつけ、右足も切り落とした。

地面に転がる寸前に首を切り落として終わり。

「いやー、燦(さん)はいっつも終わるの早いなぁ」

師の屑鐘(くずかね)さんにそう言われ、少し眉間に皺を寄せた。

「早かったら、なんですか」

「あー、いやいや、悪い意味じゃあなくってさぁ。優秀だなぁっていう感じかな?」

ケラケラと笑いながら、屑鐘さんは俺の頭を撫でる。

「子供扱いしないでください」

「え、お前、子供じゃなかったっけ?」

真顔で言われ、首を切り落としてやろうかとも思ったが、どうせ返り討ちに合うのでやめた。

「おれ、もう二十歳ですけど?」

「あ、まじかー、ごめんごめん。でもさぁ、俺よりは子供だよなぁ?年間違えられただけで怒るんだから、お子様だなぁ?」

はははと、誤魔化すように笑うので、

「屑鐘さんは三十路でしたっけ?」

と、言ったら睨まれた。

間違っていない。この人は三十路だ。

人のことを言えない癖に、と呟くと笑顔で首を締められた。

「じゃあ、もっかいしてみよっか?」

「またですか、あいつら、弱いんですけど……」

模擬戦用の人形はかなり弱い。

すぐにおわってしまって、面白くないのだ。

「どうせなら屑鐘さんとしたいんですが」

挑発するように言うと、屑鐘さんは笑顔で俺の方を見て、言った。

「いや、俺、個人的にお前のこと大ッ嫌いだから、殺すかもしんねえからやめとくわ」

かなり強い殺気。

逆に笑えてきた。

多分、いや、絶対、この人には一生適わない。
< 9 / 10 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop