青 空
痛みから身体の自由が利かなかったが、何とか
起き上がると壁に身体を預けた。
ポケットから携帯を出すと、丸めた紙が落ちた。

「もしもし…」気づけば爽悟に電話していた。
どうした?と聞かれても何も言えず、澪は曇った
夜の空を見上げた。


「澪!」気づくと爽悟の姿があり、驚いた。
走ってきたのだろう、少し息が上がっている。

「…息上がってんじゃねぇよ」そんな澪の冗談に
それどころじゃないと真面目に返すのが笑える。

「俺…もう分かんない。全部嫌になっちゃった…
人が怖いよ」パニックになって呼吸が辛い。

痛みと恐怖に苦しそうに喘ぐ澪の肩を抱き、爽悟
は優しく背中を撫でる。落ち着けと混乱する澪に
声をかけた。

「大丈夫やから…もう大丈夫や」ボロボロな澪を
目の当たりにして、爽悟は言葉が出なかった。


爽悟から連絡を受け、病院へ駆け付けた早田。

「青木先生…澪に何があったんですか!?」受付の
前で合流した爽悟に詰め寄る早田。

事情を聞き、病室へ着くと驚いて息を呑んだ。
眠っている澪の頭をそっと撫で、肩を下ろした。

そして、青木先生?と少し言葉尻を上げて、自問
自答するかのように爽悟に尋ねた。

「僕は…この子の異変にも気づかなかった……。
また同じ過ちを犯してしまうのが怖いんですよ…」
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