鈴が咲く【前編】
「『はぇ?』じゃねーよ。
今完全に自分の世界入ってただろ」
「ご、ごめん...」
「ったく...」
呆れたような声を出した翔に
あ、とお弁当を取り出す。
「...あ、そうだ。
はい、お弁当。」
そう言って、
ベンチに座っている翔に
お弁当を渡す。
「ん。どーもな。」
「「いただきます」」
パカッ
「...うまそー」
「え?何?
ごめん、聞こえなかった。」
そう言ってくれてありがたいよ、翔。
「...何でもねーよ。」
「?」
不思議そうな顔をした私をほっぽって
卵焼きを運ぶ翔。
パクッ
「…うめーなー」
「そ、そうかな?
ありがと!」
「...あいっかわらず、
卵焼きはうまいよな、お前って。」