鈴が咲く【前編】
翔太side
寝ている咲に話しかける英語教師。
今は机の前に立ってるけど、
さっきまで教卓のとこで
嫌味たっぷりに咲の事馬鹿にしてたから
クラスの奴らの視線が鋭く刺さってる。
まぁ実際生徒からの評判最悪なクソババアなんだけど。
授業間のルールはたった一つ。
それさえ守れば文句は言われない。
私語をしていても問題ない。
『授業中の会話はすべて英語』
それ以外は禁止。
破れば罰則も食らうし、
先生の采配で成績下げることも可能だから
その規則を破るやつも、反抗する奴もいない。
そしてこの成績優秀者の多いA組でも、
日常会話レベルを話せる奴はいない。
国際コースもある学校だから
話せるような奴はそっちにいく。
起きた咲がまだ少しトロンとした目で先生を見上げた。
クラスの奴らには何言ってるかわからないだろうな。
授業間のルールにのっとって、
英語でまくしたてる先生の言ってることは。
普通ならここで委縮させられるから
勝手なことをさせないよう牽制になるんだろうけど...
「どうして授業中に寝ているの?」
「あなたは授業中に寝てもいいと思ってるのかしら?」
咲の前に仁王立ちする先生に、
咲が恐れる様子はない。