鈴が咲く【前編】
固まった咲にクラスが不安になった時。
カッカッカッ
すごいスピードで黒板にチョークを走らせていく。
すげぇ手の動きが止まんねぇ……!
「先生、出来ました。」
「そう、待ってなさい。」
そう言って黒板に近寄る先生。
出来ているわけがない。
散々いびってやろうという魂胆が見え見えの声。
答えの書かれた紙と何度も見比べて確認する。
「あ、あってる...」
その言葉に、
ドキッとするような笑顔を見せた咲。
「これでいいですよね?先生。
あぁ、そうだ。
この問題東京の大学の問題ですよね?
しかも最高難易度の。
高校生に出す問題としては向いてないと思いますが?」
そう言い放って席に戻ってきた。
「さすがだな...
嫌味たっぷりの返しまでつけて...」
苦笑しながらもそう話しかける。
「まぁね...解いたことある問題だったし...
英才教育受けてたし
反論しないわけにはいかない、でしょ?」
そんなふうに言ってから
ふと、
「仮にも世界に誇る大企業の令嬢ですから?」
語尾にハートマークをつけ艶やかな笑みを見せた咲はそう付け足して前を向いた。
ほんっと、さすがだわ...