鈴が咲く【前編】
グイッ
腕をひかれて振り向くと。
「ちょっとお話いいかな?」
知らない男の子が立っていた。
「え...」
この人……
「いいよね?
少しだから。」
そう言って腕を強くつかむ。
「いっ...」
痛い。
ギリギリと腕がきしんでいる気がする。
「いや...」
抵抗はするけど“香林咲希”のまま。
そのままぐいぐい引っ張られ、
ついたのは人目に付かない建物の裏。
他の学年の寮かな...?
そんなのんきなことを考える。
掴まれていた腕を離される。
まだ痛い...腕をさすった時。
ドンッと壁に突き飛ばされる。
背中が壁に激突した。
「っ...」
よろよろと体勢を整える。
前を見ると、
さっきの男の子の両脇に、
二人の男の子が立っていた。