鈴が咲く【前編】

「おまえさぁ...」



さっきの男の子が
ニヤニヤした笑みを浮かべながら、
話しかけてくる。


「あいつらの本性知ってんの？」








……あぁ、めんどくさい。








どうせ翔たちのこと……でしょ？

本性なんて。
……ただ何も知らない
平和な人達なだけじゃない。



「あい、つら……？」


何も知らない純粋なオンナノコ。

無意識に演じるのも
意識して演じるのも、もう簡単。





「山下翔太と佐島龍也だよ。」

「そして、遠山光輝と」

「関石康平。」

となりにいる二人が続ける。



本性……ねぇ？



「あいつらは、卑怯者なんだぜ？」

卑怯者……確かにね

偽善者の様な……



ただそれを私にぶつけるアンタらも
相当ウザイ卑怯者だって……分かんないのかな？




「そんなはずない！」

皆を信じて正にヒロイン、って感じかな

「それが、そうなんだよ...」




そう言って思い出したように
苦虫をかみつぶしたような顔をする。




……こっちの方がよっぽど人間らしい。

わたしの周りには
こんな奴らしかいないんだから……







「あいつらはなぁ！
入学直後のテストで、
小細工をしかけたんだ！！」





「おかげで俺は、
最悪のDクラスに入れられたよ！
なのにあいつらは！
Aクラスで！のうのうと！」




怒りを抑えきれないようで、叫ぶ男の子。






もう少し、聞いてあげようかな？

「どうやって...？」

「そんな物知るか！
どうせ、回収するときに
名前を消すとかしたんだろ！」