鈴が咲く【前編】
思いっきり、壁にたたきつけられる。




「うっ...」


か弱くて、純粋で、華奢な女の子で。

初対面のコイツらの前で演じるのなんて
簡単すぎる。



こんなことで
私を傷つけたつもりなわけね……

じゃあ私が幼い頃から受けた痛みは
どれほどのものなわけ?






「あ~ごめんなぁ~?
痛かったかぁ?」




面白そうにいう男の子が
稚拙すぎて笑えてくる。




平和な場所に生まれてよかったね

こんなことで満足するなんて







「っ....」

立ち上がろうとすると、
痛みが駆け抜けた。

ぶつけたところから、
内出血し始めている。


案外しっかり内出血していて
どんだけ痛みに強くなったんだろうと
こんな状況で思うわたしは
既に色々と経験しすぎている。




立ち上がって前を向く。

「お~...
頑張るねぇ...」

バカにしたように言って、
肩を押す。

バランスを崩して
尻餅をついた。



「ほんとさ…あいつらも良くやってくれたよ……
まさか自分たちで弱みを増やすなんて、さ!!!」




言葉尻と同時に跳ね上がった足は
掴まれていた腕を直撃する。
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