鈴が咲く【前編】
「...咲希?」

え?...

「起きたのか?」

佐島、君だ....



___カチ






いつの間に
部屋に入ってきていたのか、
ドアの前に立っているらしいことが
気配で分かった。

とっさに、顔を伏せる。

「大丈夫か?」


佐島君の優しい言葉が、
うれしかった。


また、私はキャラを作って演じる。


「うん、大丈夫。
心配かけてごめんね…」

「いや、大丈夫だ。
俺らのせいだよな、ごめん。」

「ううん!」


優しさが、声から伝わってきた。



「痛いとことかないか?」

しばらくして、
となりに座ったままの佐島君がそう言った。

「うん。
……大丈夫だよ」




やせ我慢でそう言ったのが、
バレたかもしれない。

スイッチを完全にきったの失敗だったな……









でも、気まずい雰囲気にはならずに、
二人で月を見上げていた。

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