鈴が咲く【前編】




「我は、陰陽道を司る
聖林の姫なり。
我に使えし式神よ。
今、その力を解放せよ!」

術をとなえて、髪をほどく。

バサッ...

腰まである髪をいっきにおろし、
札を構える。

『ホウ...
そうか、お前が...』




口だけを動かして、そう一息に言うと。

『ハッ!』

パリンッ

術が砕ける。



やっぱり、一筋縄でいく相手じゃない……!

『ますマす気にいった!
ソウか、お前ガ姫か...
うむ。ますます手に入レタい...
手合ワせ願おうか!』


「受けて立ちましょう。」


そう言って札に力を込める。



まだ燈兜は遊びだ。
コチラも本気を出さなくたっていい。

『咲』のままでも互角に行けるはずだ。


だってホントに遊んでるもの



「禁!」


放ったお札を避けた燈兜に、
避けると見越して
先に放っておいたお札が当たる。

『おォ!』

そう感心したように声も出して、
全くダメージを受けていない。


やっぱり防御としては遊びの力加減じゃないか……



「柳!
九尾!!」

地面に札を張り、
正式な呼びだし方で、式を呼ぶ。


ただし九尾は真名じゃないから
あの何匹もの小さい小狐の姿。



「柳、燈兜を足止めして!」

『任せろ』



「九尾!
翔たちの安全確保を!」


翔たちはまだ、術が解けていない。
でも解いている暇はない。

燈兜へと向き直る。
柳が押されてる...

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