鈴が咲く【前編】


『なるほど...頭も回るというわけカ...
アの術を使えルトはな……
ますます欲しくなったゾ...
姫よ...今回は引いてやろう...
お主も遊んでいたようだしナァ…?』




「っ!?」




そう言って、燈兜は姿を消した。



……やはりバレていた。

私が、“紅竜”としてでなく、
ただ、咲として聖林の者として
戦っていたことに。

聖林の姫としてすら戦っていなかったことに。




……紅竜の時より、
はるかに弱いと言うことに。







「っ大丈夫!?
みんな!」

急いで後ろを向く。

「っあぁ」「大丈夫だ」

「そう...よかった。」

3人の周りを旋回している
九尾達に声をかけようと近づく。

「九尾...爽、蓮、蘭、湊、麗。お疲れ様。
よく頑張ってくれたね。
ありがとう。」


そう言って頭をなでる。

うれしそうに目を細めた九尾達は、
私の頬に頬ずりしてから消えた。


「ひとまず戻ろう。
燈兜の事、いろいろ調べなきゃ。」

「「「……あぁ」」」
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