鈴が咲く【前編】
――――理事長室
「てことは...?」
「うん。
まだ、燈兜は完全復活してない。
今もどこかに潜伏してると思う。
それに、燈兜も遊びで戦ってた。
本気じゃない。」
「そんな...」
「俺ら...
全く歯が立たなかった...」
「クソッ...」
ダンッ
翔が机を思いっきり殴りつけた音が、
誰もしゃべらなくなった部屋に響いた。
「...咲。」
「何?
亮ちゃん。」
「...情けないけど、
今回燈等と
互角にやりあえたのは...
咲だけだ。
しかも、紅竜でない、『咲』だけ。」
「「っ...」」
誠にぃと翔がうつむく。
「俺らは、今のままじゃ...
きっと、
咲の足手まといになったままだろう。
さっきだって、
咲のキュウビが俺らを守ってた。
てことは、その分、咲は霊力を消費する。」
「「......」」
「うん」
だろうね。
足でまといだろうね。
だって、貴方達はシアワセなぬるま湯に浸かってた様なもんなんだから。
「咲は、姫だけど。
俺らも、咲を助けたい。
足手まといにはなりたくない。」
そう言って、
悔しそうにうつむいた亮ちゃん。