鈴が咲く【前編】
「亮ちゃん...?」






「俺は、強くなりたい。
咲を守れるぐらいに。」

グッと前を向いて、きっぱりと言った。



「うん。」

「俺も。
咲の足手まといにはなりたくねぇ。」

「咲に協力できるぐらいに
なりたいんだ。」


「こんなこと、頼むのは
おかしいのかもしれないけど...
俺達を指導してくれねえか?」


「うん。
みんなの気持ちはありがたいよ。
...本当に、やるの?」

「あぁ」「おぅ」「もちろんだ」


「...わかった。
みんなの覚悟があるなら、
私は、それにこたえるよ。」




みんなのホッとしたような顔を
見ながら続ける。


どこまでまともに動けるようになるのかなぁ…?



「...誠にぃと翔にやってたやつは、
霊力そのものをぶつけてるから、
霊力自体を強化できると思う。
攻撃も防御も、それぞれみんな違うと思うから、
一人ひとりにアドバイスするね!」



そう言って笑って見せる。



反吐がでそうな仲良しごっこ。


「みんなはいつごろしたい?」


いつごろ、なんて。
用事なんか聞いちゃって。

ほんとに切羽詰まってたら
寝る間も惜しんでやるはずだよね?

でも、

「平日はいろいろあるだろうから...
一週間に一回、
どこかで咲に教えてもらって、
残りの日にちは自主練。
自主練や、教えてもらう場所は...」


「...この近くにさ、
本家が管理してる
でっかい倉庫みたいのって
なかったっけ?」

「あ~あったな、そういや。
んじゃ、
そこでやるのはどうだ?」




ほらね。
だからこの人たちは私とは違ってシアワセ。

出来るようにならなくても
ある程度の実力で認めてもらえるんだから
そんなふうな考えができるんだ。




「「良いと思う!」」


「じゃあそうしよう。
咲。それでもいいか?」

「もちろん!」
そう言って笑っておいた。

全員が立ち上がる。

「じゃあ、解散!」

亮ちゃんのいつもの一言で、
会議は解散した。



燈兜が復活し、危険だったのに、
いつも通り明るく。

やっぱ、分かってないのかもね……






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