鈴が咲く【前編】
3対1
「ほんとに来るの?」
「おう!
俺、もっと見てみたいんや!」
「俺も」
「もっと知りたいしね」
そう言って
諦める気のなさそうな三人。
「翔~」
「もーいいだろ。
仕方ねぇし、連れて行こうぜ?
三人とも『見える』奴らなんだし、
俺らと関わっている以上、見て困る事はねーだろ」
「いや、
まぁそりゃそうなんだけど...」
「んじゃ、行こうぜ」
よっしゃ、そんな声を上げて喜ぶ三人に
ため息が漏れた。
今日は日曜日。
亮にぃ達と合流しての特訓をするんだけど..
事情を話したらみんなが行きたい!
って言いだしてしまった。
「みんな。
来る以上、命を脅かされる世界に
自分が関わるってことだからね?
どんなに納得いかない指示でも、言う事を聞いて。
これから...今日以外でも、
私や翔ではなく自分を優先して。
絶対条件だからね?」
一瞬にして、ピリッとした
空気になった。
「うん」「おう」「あぁ」
少し迷うように
下を向いて黙ったみんなは、
まっすぐ私を見てそう言った。