鈴が咲く【前編】
「翔。
それでいいよね?」

これでダメとか言ったら
本気であんたの精神を疑うよ…?



「あぁ。
それぐらい、危険なんだからな」




寮を出て、
この間の倉庫に向かって歩いていく。

「翔...」

「わかってる。
まだ、『咲』だ。
今は『咲』でいいから」

咲希なのか、咲なのか、紅竜なのか、
当主なのか、聖林の姫なのか…




「...」

「着いてからでいい」

「うん」

後ろでにぎやかに話している
三人の声を聞いて、
寮を出てから少し強張らせていた
体から、力を少し抜くように見せた。






「着いた」

前も来た倉庫の中に入っていく。



「亮ちゃん!誠にぃ!」

「おっ来たな!」

「おせーぞ」

中で特訓していた二人がこっちに来た。


「ごめん。
ちょっといろいろあって...」

そう言いながら
亮ちゃんの目を見た。

私の後ろに居る3人と
横に居る翔を、目だけを動かして見た亮ちゃん。



「なるほどな...
わかった。
バレてんだから仕方ないわ。
早くやろーぜ」


さすが亮ちゃん
察した...


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