鈴が咲く【前編】
「翔、いつぐらいに顔出すの?
私、
ちゃんと月一で帰ってるんだから」
「いや、お前当主だろ。
そうだな~...
早めに情報手に入れておきたいし...
7月中には」
「...御老主様達にも、挨拶してね」
「...まじで?」
「当たり前でしょ...
ぜっっっったい、してください!
もう5年は行ってないんだから」
「うるせーし、うざい」
「...ここ以外で
そんなこと言っちゃダメ」
「わかってるよ」
いつも通り、
ホスピタルルームで翔と話す。
「ん?
翔太達、どっか行くんか?」
「あ?
本家だよ、本家」
「一族の本家にね。
私は月一で帰ってるし。
翔も夏休みならこれそうだから」
は~...と
感心したように声を上げた康平。