鈴が咲く【前編】
解散を促してから広間を出た。



_____カチリ

巫女服の裾を翻して離れの方へ向かう。


渡り廊下を渡り
ふすまの前に正座した。


すっ...


「...ただいま戻りました、お爺様。」




ふすまを開けて、
そう言ってから礼をした。




一人でいつも修行していた離れ。

おじいと、たくさんの思い出がある場所


お爺様に挨拶をするのは、
いつもここが最初。

部屋の一番奥にある仏壇に近づいた。


「...結」

術を唱えて、
結界を作った。

これで離れにはだれも来れない。

巫女服を着替えて
仏壇の前に座った。


「お爺様...っ…おじいちゃん……
どうすればいい...?」



弟子として、後継ぎとして、
当主としてではなく、

一人の孫として話していく。


すこしでも、重荷をおろしたくて。
そんな思いで
『おじいちゃん』に問いかけた
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