鈴が咲く【前編】
『咲様~?』


「っ!」

ふと本家に居る式の声がして
急いで巫女服を着る。


「失礼します。
お爺様。
...また、来ますね」

正座して深く礼をしてから
そっとふすまを開けて部屋を出た。

_____カチ

『咲様~?
どこにいらっしゃいますか?
咲様~...』




だんだん近づいてくる声。




「私はここに居るぞ!」

渡り廊下を渡り切ってから
そう声を上げた



『咲様!』

女の姿をした式は、
私を見つけるとすぐに
片膝を立てた状態で
しゃがみこんだ。


構える、と良く言う体勢。


「怜芽。
 サトメ
そんなに構えなくても良いよ」



怜芽にだけ聞こえるように、
そっと言った。




当主としては、
目下の者と同等に接してはいけない。



でも、
式も、妖も、星眼も、草子も...
みんな平等だと私は思うから。

私は御老主様や、
私を敵対する人がいないところでは、
普通に接してくれるようにいっていた
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