鈴が咲く【前編】
『...相変わらずお優しいですね。
咲様は私の恩人です』



そう言いながらも
私の頭に訴えてきた。

【今、御老主の使いが
近くに居るかもしれないの。
このまま話させて】

フッ..と上に目線を向けた怜芽に
かすかにうなずいた。


「改めまして、
おかえりなさいませ、咲様」

「あぁ」



『仕分けの作業もまたたまっております。
草子の見習いが
ソウシ
また増えましたのでご報告します。』





草子、って言うのは
陰陽師のアシスタントの様なもの。

退治した後の
後始末である証拠隠滅や、
その場の人を避難させたり。
後方支援や陰陽師が来るまでをつないでくれる人。



忍者の末裔や、
陰陽師見習いの
幼い子供がやる時あるけど、
ちゃんと、『草子』として
役職についている人もいる。




「そうか...
後で顔を出そう」

『ありがとうございます

では、後ほど』


そう言って素早く
建物の奥に消えて行った。
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