鈴が咲く【前編】
二階にある部屋は、五部屋。

それを確認してから、
別荘の中心ぐらいの場所に行って、
軽く結んでいた髪をおろして構える。


「我が陰陽師の名の元に
邪を寄せ付けず、悪を消し去り、
我らを守る結界を!

邪悪滅唱、魔妖結界!!」



片手で組んだ印を、
勢い良くふりおろす。

その瞬間、髪が一気に煽られて、
下から風が吹いたようになる。

私を中心に、別荘がド―ムに包まれていく。

上から、何かを垂らしたような
歪みが見えた後は、
また普通に見えるようになった。



未だに少し舞い上がる髪。

余韻を感じるかのように
目を瞑ってまっすぐに立った。


「ふぅ――。」

深く息を吐き出して、
目を開けて前を見た。

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