鈴が咲く【前編】






『姫。
我はわかってイル。
もう、良いノダ。』



燈兜の声。


雑音の響くなかで
はっきりと聞こえた声。



姫。

私は、姫なんて…!


『我は一族の姫を呼んでいるのデハない。
ソの実力と容姿かラ、其方自身を姫と呼んでイルのだ』




燈兜の言葉。


私を一人の人間だと。
私一人をみて、姫と呼んでくれた。


その言葉で
責任感と自己犠牲、苦しみの元にあった『咲』が…消えた。
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