鈴が咲く【前編】
『でハ鈴姫。
我と共に来るのダナ?』
「うん。」
『よかっタ』
微笑んで私の頭を撫でる燈兜。
「燈兜は、どう呼べばいいの?」
『我か?
我は燈兜ト呼べバ良い』
そう言いながらも
私の頭を撫で続ける。
「クフッ…」
なんだかくすぐったいような感じがして、
嬉しくて、笑顔がこぼれた。
鈴、
そう、鈴って、呼ばれてたのは…
「咲っ…………」
悲痛な弱々しい声。
「…?」
咲、って…?
くるりと後ろを向く。
もう、私に助ける理由はない。
信じてもいなかった
「?
??」
なんで話しかけてくるんだろう?
咲?
……私は鈴。
貴方達なんて知らないわ。
「…………燈兜…?
行かないの…?」
燈兜の袖を引っ張る。
『デハ、行こうカ。』
「うん!」