鈴が咲く【前編】
「……凄い?」
『さすがハ鈴姫と言エルナ。
我は鈴姫以外ニハ、この術は見たことがナイ』
褒められた!
褒められた…!
『稽古も沢山シタのだろウ?
頑張ったな』
!
…………褒めてもらった
認めて、もらった…………!
頑張ったなって、いって、もらった………!
「いっぱい練習して、頑張った
一人でずっと稽古したの」
『ウム。
舞ナガら唱えずに我ノ術を解くノハ
鈴姫デモ死ぬほどの努力ガ必要だロウ』
わかってくれてる……!
「うん!
……っうん!」
『では行こうカ』
「うん」
『姫はよかっタのか?
あやツラに掛けた結界も、
辺りに我が掛ケタ防護術や修復術、細かい術式マデ解いてシマって……
あやつらを解放するコトにナルであろう?』
「いいの。
あの人達、誰だか知らないけど
あの人達のいた場所まで帰れる目印つけてあげたから帰れるよ。
もう、会わなくて良いんだから、特別ね」
知らない人だけど、
帰れないのはカワイソウだもんね。
もう、燈兜の声以外、雑音としか聞こえない。