鈴が咲く【前編】
解放
亮side



「おい、誠。
そっちどうだ?」


「いや…多分ないな。
多分燈兜のことだったら
鬼族の方の資料に………」



聖林本家、離れの奥。

聖林の何百年もの歴史のつまった蔵。


ここで俺は、
誠と燈兜についての資料を
探しに来ていた。



「じゃあこっちか……」



数ヶ月ぶりの本家の蔵。

御老主にも挨拶をして、
何時間か蔵にこもっていた。




「咲なら術で持ってこれんのになぁ…」


誠の呟いた言葉に驚く。


「は!?」


「あれ、知らね?
咲と昔ここ来たときは咲、
ちょっと探して見つからなかったら
術で必要なやつを飛ばしてくるんだよ」


「知らねーよ…」

「どんな資料なのかと
簡単な内容とかわかれば出来るらしー」

間延びした声で話ながら
本棚に腕を伸ばす誠。


「おかしいだろ……」


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