鈴が咲く【前編】
誠と俺の二人でもいい、翔太に勝てるように。
レベルが上のやつらと互角に戦えるように。
落ち着き、力、判断、知識……
お互いがお互いをフォローしながらやってきたんだ。
その努力は……確実に俺達の中にあった。
だからこそ……
「っ……」
翔太、お前は俺達にまだ勝てない。
息を呑んで、二人を見ている一族。
悔しそうに顔を歪めながら
口をつぐんだ翔太。
「弱ぇのに……
力だけで押し切ったって
術が成功するわけねーだろ」
そう言って翔太の襟首から手を離し
立ち上がる誠。
フッとこちらに一瞬むけられた目は、
俺達の中では充分に通じる。
「御老主様を屋敷の中へ!
救護は先に屋敷へ入り、
すぐに処置ができるように!」
「「「っ、はい!」」」
「草子の『歩』は龍輝様の元で指示を仰げ!
『騎』は式達...いや、煌銘の鈴に仕えている妖の行方をダメもとで追ってくれ!」
「「「「はい!!!」」」」
「術者と草子の『将』は俺の所へ!」
「「はい!!」」