鈴が咲く【前編】
反感が起きず、
しかも伝わりやすく全員に指示を出し、
翔太の元へよった。
「翔太。」
「っ……」
悔しげに口を歪めて手の甲で目を覆った翔太に返事を求めずに話しかけた。
「一日でも早く回復して、前線に立ってくれ」
怒るでもなく、嫌味でもなく、
そっと優しく言って、
呆然としていた三人に翔太を連れていくように頼んだ。
集まった陰陽師達、『術者』と、
草子の中での最高レベル、『将』に向かい合うように立つ。
計20名ほどの少ないチームだ。
「ここにいる者には、
燈兜と繋がっていた優羅魏を調べてもらう。
燈兜の居場所を見つけることを最終目標とし、
いくつかに隊をわけてこれから動いてもらう。」
仕事。役目。使命。
どう表すかは人それぞれだが、
各自何かを思ってここにいる。
真剣で張り詰めたような空気が
周りを包んだ。
「術者五名、将十五名に、俺とここにいる誠を合わせた計二十二名しか今動ける者はいない。
それをよく理解した上で動いてくれ。
地位による差別や偏見、過剰な上下関係を作ることは許さない。
違反した者は俺の地位と権力を全て使ってでもその位から引きずり下ろす。
いいな!?」
一瞬息を呑んだようにシン、となる。
それでも前にいる20人を見据える目は
強いままに、隣にいる誠も同調していることを感じた。
「「「「はい!!」」」」
「一隊につき術者1人、将3人の計4名で組んでもらう。
誠。」
「おう。
じゃあ隊を決める。」