鈴が咲く【前編】
『コレを選んで正解だったナ……
とても似合ってイル……美しいゾ、鈴。』
耳元で囁かれた声は
吐息混じりの低い声でゾクッとした。
「っあり、がと……」
『さテ……
どうすルカ、鈴。
結わエルカ?』
聞かれて一瞬脳裏をよぎったのは
咲の時の記憶。
髪を自己制御に使っていた記憶だった。
「……ううん。
飾り気なしで
そのままの私で挨拶したいから。」
『そうカ。
では……これで良いナ』
スッと櫛を毛先まで通して
鏡台に櫛を置いた。