鈴が咲く【前編】
澄みきった強い力に目を見張る。
影武者を複数作ること自体が負担であるのに
そこから視覚、聴覚、第六感を使って情報収集するなど
“普通に考えたら”有り得ないのだ。
そもそもやろうとも、やれるとも思わん暴挙。
もっと上へ、もっと上へ、と
認められたいと、そう思い続けた姫だからこそ
ここまで出来るようになったんだろう…
そう、思っていた時だった。
直観的に感じる、違和感。
姫の力が、歪んだ…?
何かに気を取られたかのように
何かを恐れたかのように
どこか後ずさるように一瞬よろけるように歪んだ。
グッと腰を浮かせた時。