鈴が咲く【前編】
二言三言、姫に言葉を返すと
また柱を飛び出して我らの方まで走ってくる。
『燈兜様!
聖林ノ輩共ガ、
コノ山の麓マデ来テオリマス!!』
瞬間、全てを理解した。
姫を取り戻そうと探しに来た聖林。
その聖林を影武者で見つけた姫。
自身に負担の大きいあの術を未だに使っている理由。
ずっと聖林を追いかけ、見張っているということ。
姫の異常を瞬時に察知して事情を聞こうと飛び出した藤。
そういう事なのだ、と。