鈴が咲く【前編】
『っ…!!
本当に…待たせ過ぎだ…!』
敬語の取れた夜召の声に返すように
されるがままだった斗真が夜召の背中に手を回した。
またパチン、と視界が弾けて
斗真と夜召の関係を思い出す。
本当に仲が良くて、
夜召、何ていう大人がつけた名前じゃなく
夜琉、という名前で呼んでいた斗真。
その絆の仲には入れそうに無くて、
2人の間での呼び方は特別な気がして。
どうしても夜琉と呼べなかった。
二人を見ていたらふいに柳と目が合った。
フッと笑い合う。
もう、涙は止まっていた。