鈴が咲く【前編】
ズドンッ…
お腹の底に響くような低い音と振動。
「っ!」
ハッと後ろを振り向く。
灰色の煙が一筋立ち上っているのが見えた。
「燈兜…!」
ハッとして駆け出そうとするのを
斗真に止められる。
「斗真っ…離して…!!」
「…鈴、今度こそ一緒にいられる。
だから、戻ってこい」
私が痛くない程度に、
ギュッと腕を握って引っ張ろうとする。
「わた、しは…
あの場所に戻るくらいなら…
もうここで…燈兜の一族で生きていく。
柳や夜召が斗真について行きたいなら
その意思を尊重する…
私はもう、あの世界には、戻りたくない…!」
ぐっと両手を握って
絞り出すように、俯いたまま言った。
言えた…
初めて、言えた…!