鈴が咲く【前編】
「いや、別に俺
あんな所いなくていいし。
じっ様がいたらまだ考えたけどな〜…」
そんなふうにおどけてから、
私の背中をパンッとはたく。
「俺は、お前の盾であり矛だ。
ここにいるんだ。」
盾であり矛。
懐かしくて嬉しくて
じわりと涙が滲んだのを引っ込める。
「っ…これより3分後、
燈兜率いる一族に加勢し一気に敵陣を破り拘束する
楚宙は怜芽と情報を交換し状況把握を…」
「さて…お前ら忘れちゃいねぇだろ?」
ニヤリと唇を釣り上げ少しだけ距離をとる斗真。
グルンッと一回転して
足元の砂に円を描く。
パンッ
「我が力に答えその姿を現せ。
己が力を解放せよ!」
柏手を叩いて合掌した斗真が
札を地面に叩きつける勢いではる。
「楓!!!」
ゴォッと風が舞い上がる。