鈴が咲く【前編】
『っ〜…!』
「楓、待たせて悪い」
斗真がそう言って見下ろしながら苦笑いした瞬間
ギュッと腰に抱きつかれる。
『鈴!鈴、鈴、鈴ぅぅぅ!!!!』
「楓…!久しぶり」
見た目年齢は小学生の女の子。
カエデ
斗真の契約式、楓だった。
『楓…』
『柳兄!』
またパっと顔を上げて柳に飛び込んだ楓。
この二人は本当に仲が良くて兄妹みたいで。
…仕えてる人の違いで引き裂いてしまったのが
本当に申し訳なかった。
ふい、と斗真と目配せする。
そろそろ、だよね。
「柳。楓と組んで北の入口を封鎖して?
夜召、斗真。2人で組んで北以外の場所の敵を。」
グッと頷いた四人は笑顔だ。
「…楚宙、どう?」
『北、縛り術を使用…?
燈兜含めた約10名以外思うように動けないらしい
ほかの奴らかばってるみたいでちょっと…
残り3ヶ所はうまく紛れ込んだ小隊がいくつか入り込んでるな
屋敷はキヨに任せて平気そうだぞ』
「分かった…じゃあ、みんなお願い。
私は、北にいく。」
目の前にいる、みんなを見据えた。