鈴が咲く【前編】
ゆっくりと立ち上がり、
静かに堂々と歩き出す。
自分たちが有利だと思ってるから
他に目を向けることもなくいたぶる事に
夢中になる…
「っは…
反吐が出る」
そう吐き捨ててから
足を広げて片腕を突き出した。
「縛」
自分でもわかる。
淡々とした、何の感情もない、冷酷な声。
「「「っ!!」」」
「何をしている?」
「っは…何をしているとはこちらの台詞だ!
お前は何をしている!?
あれほど世話になった聖林を裏切り
妖鬼族に入るだと!?
恩を仇で返すとはこの事だろう!!」
縛られたままの体で憤怒の表情で叫ぶ男。
「貴様のような者が上に立てただけでも感謝してほしいものを!」
その男に同調するように
あれやこれやと叫び始める周り。
あぁ…
「うるさいな…」
低く低く、
小さな声で呟いた声はそいつらの叫びに消えた。
「っ」
それでも殺気立った私の気配に
一斉に口をつぐむ。