鈴が咲く【前編】
低い体勢のまま走り、
腕を大振りする。
フウゼン カマイタチ
「風漸、鎌鼬!」
斬撃に風を乗せて
相手を吹き飛ばした。
走り抜けたまま
右手に刀を持ち下に向け、左手で印を組む。
「我が力をもって命じる。
その姿を現せ、雷竜!!」
背中から頭に抜け出るように
力が流れるのがわかった。
足を滑らせながらその場で回転して
後ろを向く。
立ち上がった敵を見据えて、
刀を消失させた。
線香火が頭上で弾ける。
「…秘技、雷竜炎!!」
パァン、と柏手を胸の前で打つ。
咆哮をあげながら頭上から飛ぶ竜の形をした雷。
そのままそこにいた全員をつつんで
放電する。
「雷牙!」
激しい閃光と、スタンガンのような電気衝撃。
その場に崩れ落ちた男達は、
もう立ち上がるようには見えなかった。