鈴が咲く【前編】
ふっと力を抜き、腕を下ろす。
はぁ、と息を吐き出した瞬間。
「さっ…咲っ!!」
来たよ………
冷たいと自分でわかる目で、振り向く。
「咲…」
「迎えに来た。帰ろう」
「帰ってこい」
そうだよね、
君ら3人でずっとあちこち探してたんでしょ?
それでさっきの雷龍炎の光で
ここに戻ってきたんでしょ?
分かるよ。
全部。
「はぁ…」
ふとため息が出た。
あー…なんだろーなぁ…
そりゃ本心で言ってるんだろうし
前まではそれで“大丈夫”って言ってたけど、さぁ。
なんも知らないくせに
ただのうのうと批判されることなく生きてきたくせに
どうせ私を引き戻しても
より強くなる批判反感をどうしようも出来ないくせに
…白々しい。っつーの?
なんなの。なんなの。なんなの。なんなの。