鈴が咲く【前編】
トン、と足を1度地面に弾ませた柳が
空へ飛んだのが分かった。
柳の霊気がどんどん屋敷の奥の方へと遠ざかる。
「っ…!!
な、んで…」
「いや知ってますよそりゃ
齢6歳の僕は当時一族内でも一目置かれてたみたいですし。
当主の血筋の鈴と組ませてもらってたって事は
やっぱいい線言ってたんだろうなぁ…」
思い出すかのように語尾を伸ばす斗真の顔は
私からは全く見えない。
でも背中越しに見える三人の顔は、
段々と変わってきていた。
「追い出されるように本家を出されて、
一族の主軸争いから外されて。
やっとの事で帰ってこれたらと思ったら
鈴は妖鬼族にいる。」
何やってんの?アンタら。
そう、つぶやいたのが聞こえた。