鈴が咲く【前編】
「燈兜、もう、いいから。
もう私がやるから、術を解いて…」
『我が同胞ヲ…傷つケる者ハ………
我ガ………守らナク…てハ……』
朦朧としている意識。
肩を揺すると、
ぐらり揺れて伏せていて見えなかった顔の片面が見えた。
「っ…!!」
頭から流れた血が、べっとりと付いていた。
妖である燈兜はもう既に出血は止まってるけど…
「ちょっと、まってよ燈兜…!?」
『我、ノ……』
ハッとして近くで倒れてる一族の人の頭を
人差し指と中指だけを立てて触る。
…ちょっと待って、コレ………
バッと、未だに朦朧とした意識で術を張り続けようとする燈兜を振り向いた。
守護術と同時に反射がかかってる……!!
嘘でしょ、
ここに居た一族の人が受けた攻撃全てを
燈兜が身代わりに受けてたってこと…!?
何回目かの往復をして、
また戻ってきた夜召に一族の人を任せて、
燈兜を抱えあげた。