鈴が咲く【前編】
ギュッとつぶっていた目をうっすらと開けると
斗真たちがいなくなっていた。
へ...?
斗真.....?
風音とともに降り立った夜召を呼ぶ。
「夜召!」
『はい、鈴様』
「今まで屋敷まで送ったみんなの様子は...?」
『怪我をしている割には出血も少ないですし
すぐに目を覚ましそうで...』
やっぱり...!
『...なるほど。』
立ったまま燈兜を見下ろして呟く。
「みたいなの...」
とりあえず、気は送ったから...
そう続けたとき。
『鈴様と燈兜様はやはり似ていますね』
そういいながら腰を折り、
燈兜に肩を貸すようにして持ち上げた夜召が
呆れたように眉を下げた。
へ...?
『お二人とも、すぐ自分を犠牲にするんですから...
鈴様もこの件から
いつもどれだけ私たちの心臓に悪いことをしているかわかってもらいたいものです。』
思案顔でそう言った夜召は体勢を整えると
『...あとは、お任せください』
フッと笑って、屋敷の方へ燈兜を連れて行った。