鈴が咲く【前編】



夜召の言い方がやっぱり少しこちらを気遣うように、
空気を変えるかのように私をからかう口調で話していたのが
耳の奥に残り思わず口元が緩んだ。




「スゥーーーっ」


思いっきり息を吸って。





「怜芽、現状の報告を!
楓、今の斗真の状況を分かり次第教えて。」




切り替えろ。自分。



『もう戦線は限られてるよ!
ただ敵のやり方がやり方だから苦戦してるとこが多いかも。
負傷者はほとんど屋敷に来てるからそこは安心して。
今の最大戦地は柳のところと怜里のところ』



脳内に響く怜芽の声。



「了解。
雪狐、召隷。怜里の援護に。
琴は柳の援護にお願い」

『了解しましたわ』『御意』
『オッケー、任せて!』




「楚宙、今怜芽と一緒だよね?
里の中、もしくは山の中にいる戦闘不能になった聖林を
片っ端から山の外に出してほしい。
美狐執と孤執羅も一緒にお願い」

『りょーかい』
『わかりました』『屋敷の守護から聖林の排除へ動きます。』


「怜芽はそのまま続けてね、」

『鈴!
斗真は今あの三人と対峙してるよ!』


っ!?


「どこで...!?」

『斗真が異空間を結界で作り出してて、その中で!
結構無事そうだし
言いたいこと言ってるみたいだから詮索しない方がいいよ?』

コテン、と首をかしげる楓の映像が脳内で再生される。




「おっけー...」




ひとまずこれで落ち着いた...のかな



ココ
最大戦地だった北側を抑えたのは大きいはず...


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