鈴が咲く【前編】




















「鈴。」







気味悪いくらいに静かになった里。

どこかのお祭りのあとのように
すっぽりと何かが抜けたみたいで
頭が働かなくて、呆然と立ちすくんで
ついさっきまで戦場だった場所を見る。





拘束した聖林達を全て山の外に放りだして
結界を張り直して。
負傷者を全員屋敷内に運んで。

負傷者ほぼ全員に気を分けたり、治癒したり。


いろんな人と入れ違いになってほとんど
人伝いに情報が伝わったり
各自やるべきだと思うことをやったりしてて
今みんながどこにいるのかすらわからない。

そんな中でただ一人喧騒の去った里で
立ちすくんでいた時。




後ろから声をかけられて振り向く。


「斗真…」

二人で何も言わずに
握った拳の甲同士をコツンと当てた。





「……終わったな」


「うん…」

これでもう、全て。
全て終わったんだ……



< 566 / 568 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop