鈴が咲く【前編】
グワッと白い光が
一面を包む。

妖たちがかすんでいく。


術の光と同時に天狐様が印から飛び出し
空を駆けるのが見えた。



成功……!

ちょっとやりすぎた、かな……?




一気に風が巻き起こる。







フワッと足が地面から離れる感覚を感じながら
九尾、と口だけ動かして
天狐様に付かせた。

天狐様だけで動かすなんて
礼儀知らずにもほどがあるから。






意識が揺れる。



これで良い。

あいつには天狐様も九尾を呼んだことも
ばれていない。

これで意識を失えば、
精一杯の力だって思わせられるはず...


最後の最後まで考えながら。


私は強制的に。ブレーカーを落とすように。
霊力を体内にため込ませて、意識を失った。


< 76 / 568 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop