鈴が咲く【前編】
九尾を私が呼び出してから、
天狐様がお帰りになるまでの間の、
九尾の記憶をみる。
脳裏に浮かぶ映像は、九尾の目線。
天狐様がどう動いて、何を話したのか。
…怒ってはいなかったみたい……だね。
良かった。
やっぱり九尾は結構気に入ってもらえてるみたいだから
今度天狐様に御礼参りにいこうか…
そこまで考えたところで
九尾が賛成するようにスリ、と尻尾を私に寄せる。
「うん…今度、一緒に行こうか」
額を離して、
大きな尻尾と三角の耳だけが残った
人型の九尾の頭を撫でた。
九尾を見送って、
立ち上がる。
天狐様の召喚に霊力を使ったことは間違いないけど、
歩けないほどではないし、
ましてや立てないなんてありえない。
そんなんで戦闘中どうするんだって話だし...
まぁ、翔は
何も気づいていないようだったから良かった。
護符を作ったりしていて気が付くと、
もう八時を過ぎていた。
「お風呂入って寝よう...」
結局夕ご飯は食べずに、
お風呂に入って寝た。