素直になりたくて~メイクに恋してあなたを愛す~
「“辛い時は1人で抱え込むな。
自分の気持ちを押し殺すんじゃない”……そう言っただろ?」

「橘……部長……」




私は橘部長の腕の中で静かに泣き続ける。
凄く温かくて何より安心する……。




「泰東、年を重ねるごとに人は素直な気持ちを忘れていくんだ」

「素直な……気持ち……?」

「そうだ、自分がどうしたいとか。
自分の感情とかすべてを押し殺すようになっていく」




橘部長は私を抱きしめる力を強くすると優しい声で話を続ける。




「泰東は周りの事を気にしすぎだ。
もっと自由に生きろ、もっと素直に生きろ」




その言葉は私の涙腺を崩壊させるには十分すぎた。
止まることを知らないかのように溢れ出す涙。




「ずっと泣くの我慢してたのに……。
橘部長のせいで……止まらなくなっちゃったじゃないですか」

「それでいい。
涙を我慢して無理やり作る笑顔なんかより……。
心から笑う笑顔の方がお前には似合う」




橘部長は私をそっと離し私の視線と交じり合うように屈んだ。



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