素直になりたくて～メイクに恋してあなたを愛す～
「お待たせ～」

「……はっ？」


しばらく飲んでいれば横から聞きなれた声が聞こえてくる。
その声の主をみるなり大樹は顔を歪めて私を軽く睨んできた。


「どういう事だよ夏香」


さっきまで幸せそうだった大樹の顔は一変し、怒りに歪んでいる。
私が思っていた通りの展開になり思わず笑えてくる。


「あ……あはは！
なぎさも一緒に飲みたいんだって～」


わざと呑気な声を出せば大樹に軽く頭を叩かれる。


「ちょっと田辺！アタシの夏香に触んな！」


声の主であるなぎさは私の横に座るなり大樹に喧嘩を売っている。
それを聞いた大樹がその喧嘩を買わない訳がなく……。


「あっ！？お前の夏香じゃねぇよ！！」


2人の言い争いが始まってしまった。

そんな光景が懐かしくて思わず声に出して笑えば2人の顔が怒り顔から笑顔へと変わっていた。
3人で笑いながら同じ時間を共有する。
大学時代は当たり前だったこの時間が社会人となってからは随分と減った。
大樹とは同じ会社だから毎日会えるけどなぎさは毎日とまではいかない。
少し寂しいな……。
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