素直になりたくて~メイクに恋してあなたを愛す~
「翔也さん……」

「……俺的にはかなりオイシイ展開だけど……。
君のそんな顔を見ると喜べないな」

「……見てたんですか?」

「ずっといたからね」



翔也さんは軽く微笑むとさっきまでマコさんが座っていた椅子に座った。
そして私の頭を軽く撫でる。



「ホラ、元気だしなよ。
橘さんが店長さんを好きって訳じゃないんだからさ」

「……でも……お似合いですもん」



さっき2人を見て思ったんだ。
凄く素敵なカップルだって。


クールで、大人で、格好良い橘部長。
明るくて、大人で、綺麗なマコさん。


どこからどう見てもお似合いすぎて、私がいたら邪魔なんじゃないかって思ってしまった。



「ハァ……。夏香ちゃんって見かけによらず結構酷いよね?
俺さ……夏香ちゃんに告ってるんだけど?その俺の前であからさまにへこむなんて……」

「あ……すみません……」

「謝らなくていいからさ……笑って?
君の笑顔をくれたらチャラにしてあげる」



翔也さんの不敵な笑みに、私は自然と笑顔になれた。
私の顔を見た翔也さんは満足そうに笑い私から離れる。



「よく出来ました。
いつか、その笑顔が俺だけの物になる日が来るのを楽しみにしてる」

「それはないです」



バッサリと言う私に『それでこそ、夏香ちゃんだ』と言って微笑んでいた。



「……泰東、待たせたな」

「あ……お帰りなさい。橘部長」



翔也さんと話していれば橘部長が戻ってきた。
橘部長は翔也さんを見るなり、眉間にシワを寄せた。


それは翔也さんも同じで、睨みあう様に2人は見つめあっていた。

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